映画館に行くと、新作の邦画がずらっと並んでいますよね。
「また新しい邦画が出てる!」と思ったことがある人も多いはず。
でも、ふと疑問に思いませんか?
こんなにたくさん作って、本当に儲かっているんでしょうか?
今回は、邦画の「本数」「収益」「制作費」「ビジネスモデル」にフォーカスして、今の日本映画業界のリアルを掘り下げてみます。
近年の邦画はどれくらい作られてるの?
まずは単純な数の話から。
実は邦画って、毎年かなりの本数が公開されています。
つまり、最近では1日に2本近い邦画が映画館に並んでいる計算です。
制作本数は右肩上がりで、2024年は過去最多を記録しました。
コロナ禍で一時的に落ち込んだものの、その後しっかりと持ち直しています。
これを見ると、「日本映画って意外と元気なんじゃ?」と思うかもしれませんが、次の収益面を見てみると少し事情が変わってきます。
実際にどのくらい儲かってる?
2024年の邦画の総興行収入は約1,481億円。これは過去最高の数字です。
ちなみに前年の2023年は約1,482億円と、2年連続で高水準をキープしています。
一見すると「邦画、絶好調!」と思えるかもしれませんが、この数字には落とし穴があります。
たとえば2023年に公開された邦画のうち、興行収入が10億円以上を記録したのは34本。
しかしその34本だけで、総収入の約77%にあたる約1,139億円を稼ぎ出しているんです。
逆に言えば、残りの642本が稼いだのは、全体のわずか2割ちょっと。
全体を平均すると、1本あたりの興行収入は約2.19億円。
しかしヒット作を除いて平均すると、1本あたり約5,300万円にしかなりません。
つまり、「数は多いけど、ほとんどが儲かっていない」のが現実。
華やかに見える映画業界にも、実はシビアな競争が潜んでいるのです。
邦画を作るのにいくらかかる?
では、映画を作るには実際いくらかかるのでしょう?
作品の規模やジャンルにもよりますが、一般的な邦画でよく言われるのが以下のような制作費です。
意外とコストがかかるんですよね。
そして、これには広告宣伝費(P&A)も含まれていないことが多く、マーケティング費用まで含めると予算はさらに膨らみます。
なので、先ほどの「1本あたり平均5,300万円の興行収入」では、元を取れていない映画もかなり多いんです。
邦画のビジネスモデルとは?
それでも邦画が作られ続けているのは、収益源が「映画館のチケット」だけじゃないからです。
映画の収益構造は複雑で、以下のような複数のルートがあります。
映画館での収益が小さくても、 NetflixやAmazon Prime Videoなどで買い取られることで、利益が出ることも。
最近では配信ファーストの戦略を取るケースも増えています。
さらに、「製作委員会方式」と呼ばれる仕組みもポイント。
複数の企業(テレビ局、出版社、広告会社など)が出資し合うことで、リスクを分散させつつ、利益も分け合うスタイルです。
この仕組みにより、ある程度の失敗は折り込み済みで映画が作られているんです。
それでも映画を作り続ける理由
「それでも邦画が作られ続けているのはなぜか?」という問いに対して、答えは意外とシンプルかもしれません。
つまり、一本の映画をきっかけに“当たれば大きい”というビジネス的魅力があるわけです。
まとめ
邦画は数も多く、儲かる作品もある。でも…
邦画は年々制作本数が増え、興行収入も右肩上がりです。
しかし、その裏では「多くの作品が赤字」という現実もあります。
むしろ配信サービスや海外展開といった新しい収益モデルも広がりつつあります。
邦画は決して楽に稼げるビジネスではありません。
でも、当たれば大きく、作品をきっかけに広がる価値も大きい。
だからこそ今も挑戦が続いているのです。
次に映画館で邦画を観るときは、「これはどんな戦略で作られたんだろう?」と少し想いを巡らせてみるのも、映画の楽しみ方のひとつかもしれません。