教育訓練給付制度を知っていますか?働く人の能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。
この制度を使えば、在職中でも資格取得に必要な費用を大幅に抑えることができます。
教育訓練給付金を最大限に活用し、スキルや資格を取得してキャリアアップを目指しましょう。
教育訓練給付制度の条件
教育訓練給付金を利用するためには、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。「支給要件期間」とは、同じ事業主に継続して雇用された期間のことをいいます。ただし、3年以内に転職していても離職期間が1年以内であれば、それぞれの職場の支給要件期間を通算することが可能です。
一定の要件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)又は被保険者であった方(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給されます。
雇用保険の被保険者とは、主に民間企業に勤め、雇用保険(失業保険)を支払っている方を指します。派遣社員や契約社員などの非正規雇用であっても、雇用保険の被保険者である期間が条件を満たしていれば受給対象になります。
- 雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて受給しようとする方は当分の間1年以上)
- 被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内
2回目以降の追加条件
- 前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに3年以上経過していること
- 例外で求職者支援訓練の基礎コースから実践(応用)コースにステップアップする場合は連続で受講できる場合もある
教育訓練給付金の種類
一般教育訓練給付金
職業のキャリアアップやスキル向上に役立つ講座を受けた場合など、雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象。
支給額: 受講費用の20%(年間上限10万円)
対象講座の例:
簿記2級、ITパスポート、介護福祉士、宅地建物取引士、行政書士、登録販売者、衛生管理者、医療事務、英会話など
特定一般教育訓練給付金
特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象。
一般教育訓練給付金よりキャリアアップ効果の高い講座が指定されている。
支給額: 受講費用の40%(年間上限20万円)
対象講座の例:
介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、税理士、ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座など
専門実践教育訓練給付金
45歳未満で特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象。
業務独占資格(看護師、美容師など)や名称独占資格(調理師、介護福祉士など)の取得を目標とする講座や目標資格を定めず大学や大学院の学位を取得する講座など、他の教育訓練給付金より専門的な講座が対象。
さらに、専門実践教育訓練の修了後1年以内に、目標として設定した資格を取得等し、雇用保険の被保険者となる就職をした場合は、支給額が70%(年間上限56万円)に。
支給額: 受講費用の50%(年間上限40万円)
対象講座の例:
介護福祉士、社会福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、保育士、調理師、ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座など
教育訓練給付金の申請手順
教育訓練給付金を申請する手順は以下の通りです。しっかりと準備をして、スムーズに手続きを進めましょう。
特定一般教育訓練および専門実践教育訓練を受講する場合は、受講開始日の2週間前までに必ず訓練対応キャリア・コンサルタントによる「訓練前キャリア・コンサルティング」、および「ジョブ・カード」の発行が必要になります。
- STEP1受給資格を確認
自分が教育訓練給付金が受給できるかどうか、必ず受給資格を確認する自分が教育訓練給付金が受給できるかどうか、必ず受給資格を確認しましょう。
不明な場合はハローワークで教育訓練給付金支給要件照会票を提出し、支給要件照会(無料)を申し込むと知ることができます。詳しくは本人の住所を管轄するハローワークにお問い合わせください。
- STEP2対象講座を申し込む
厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練に申し込み、受講します。
専用サイト(教育訓練講座検索システム)で検索することができます。 - STEP3ハローワークで申請
受講修了後1か月以内に本人の住所を管轄するハローワークで申請手続きを行います。
必要書類:
教育訓練給付金支給申請書、教育訓練修了証明書、領収書、教育訓練経費等確認書、本人・住居所確認書類、マイナンバー確認書類、払渡希望金融機関の通帳又はキャッシュカード - STEP4給付金受給
申請が承認されると、申請時に届け出た金融機関の口座に給付金が支給されます。
100%承認されるわけではないため注意が必要です。
人気資格の紹介
教育訓練給付金を利用して取得できる人気の資格を紹介します。参考にしてみてください。
教育訓練給付金対象講座は求職者給付の基本手当の求職活動実績の代わりとして認められるメリットもあります。
キャリアアップ目的の人気資格
専門実践教育訓練給付金(昼間通学)で人気の資格
教育訓練給付金制度の注意点
教育訓練給付金は、教育訓練の受講料の一部を補助する制度で、教育訓練の受講料の全額を補助する制度ではありません。教育訓練給付金の対象となる教育訓練経費は入学料と受講料だけのため、交通費、補講費用、受験料その他雑費などは対象外です。
教育訓練を修了したときにのみ支給されるため、受講料は全額先払いになります。お金に余裕がある時に受けるようにしましょう。もちろん、途中で教育訓練を辞めた場合は支給がされません。
そして、受講すれば教育訓練給付金が必ずもらえるわけではないため注意が必要です。
給付金を受け取るためには講座を受講・修了した後、1か月以内にハローワークで支給申請手続きを行う必要があります。期限が過ぎてしまうと無効になってしまうので気を付けてください。
教育訓練給付金対象講座は求職者給付の基本手当の求職活動実績の代わりとして認められるメリットもあります。
まとめ
教育訓練給付金制度はキャリアアップを図りたい方や、資格を取得して転職を目指したい方にとってはおすすめの制度です。対象となる講座はたくさんありますので、ぜひ挑戦してみてください。
まずは受給条件を満たしているか確認し、必要な書類を揃えましょう。支給額など制度を理解しておくと安心です。
教育訓練給付金制度を利用して、お得にキャリアアップを目指してみませんか?