はじめに:家を建てようと思ったら、まず何から考える?
マイホームを建てようと考えたとき、まず頭に浮かぶのが「一体いくらかかるんだろう?」という予算の話ですよね。
ネットで検索してみても、「平均3,500万円」とか「頭金は2割入れましょう」なんて、どこを見てもお決まりのテンプレートみたいな情報ばかりで、いまいちピンとこないことも多いはず。
実は、家を建てるために必要なお金は、建てる場所(地域)によって完全に別世界になります。
さらに、その支払いを「現金一括」にするのか「ローン」にするのか、はたまたローンを組むにしても「金利をどう選ぶか」によって、その後の暮らしや手元に残るお金のバランスはガラッと変わってきます。
今回は、大都会と地方での実際の費用の違いや、支払い方の比較、そして気になる金利の仕組みまで、これから家を建てたい人が本当に知りたいお金の全体像をまとめてみました。
大都会と地方でこんなに違う!家を建てる費用の目安
家を建てるコストの大部分を左右するのが「土地代」です。住む場所によって、予算の桁が変わってきます。
大都会(首都圏や主要都市)で建てる場合
土地代がとにかく高騰しているため、予算のほとんどが土地に持っていかれるのが大都会の現実です。
総予算の目安
約 6,000万 〜 7,500万円以上
特徴
土地が狭くて非常に高価なため、限られた敷地を有効活用する「狭小住宅」や「3階建て」が多くなります。
土地だけで数千万円が必要になるため、建物自体を少しコンパクトに抑えるケースも珍しくありません。
予算がどうしても高くなる分、支払い方の選択や資金計画はかなり時間をかけて考えることになります。
地方(地方都市や郊外)で建てる場合
土地代が安く抑えられる分、建物そのものやこだわりの庭にお金を回せるのが地方の強みです。
総予算の目安
約 3,500万 〜 4,500万円
特徴
広い土地を確保しやすいため、ゆったりとした平屋や、憧れのウッドデッキ付き2階建てが狙えます。
車社会の地域なら、駐車場を2〜3台分確保するのも一般的です。
都会に比べて総額を低くコントロールしやすいため、予算的にも気持ちの面でも少し余裕を持った家づくりができるのが特徴です。
住宅ローンの「月々の返済額」の目安
では、実際にローンを組んで家を建てた場合、毎月いくらくらい支払うことになるのでしょうか。
国土交通省の「住宅市場動向調査(e-Stat公表データ)」から、実際の相場を見てみましょう。
購入資金全体の相場
全国の注文住宅の購入資金(土地代+建築費など)をみると、以下のような結果が出ています。
一部の高額な物件に引っ張られやすい「平均値」だけでなく、より一般的な実態に近い「中央値」で見ても5,000万円を超えているのが今の現実です。
家を建てるとなると、これほど大きなお金が動くことになります。
実際の月々の返済額はいくらくらい?
気になる住宅ローンの返済額ですが、同じく調査データにある年間の返済実績から計算すると、実際の返済額の平均はこれくらいになります。
借入額や金利条件によってもちろん変わりますが、実際に家を建てて暮らしている人たちは、毎月これくらいの住宅ローン返済額を想定して支払っているケースが多いようです。
「家賃と同じ支払いで家が買える」という広告の裏側
ここで気になるのが、チラシやネット広告で見かける「今の家賃と同じ月々約9万円でマイホームが手に入る!」などというフレーズです。
さっきの平均値と比べても、ずいぶん安く見えて魅力的ですよね。
でも、あの数字をそのまま自分の計画に当てはめるのには注意が必要です。
広告の「月々○万円」というのは、多くの場合、変動金利や優遇金利が適用されているだけでなく、頭金を多く入れたり、ボーナス払いを併用したりするなど、特定の有利な条件をいくつも組み合わせて計算されているケースが多いためです。
さらに、実際に家を買って暮らし始めると、住宅ローンの返済以外にも以下のような費用が毎年、あるいは将来的にかかってきます。
一般的な戸建てでは、固定資産税や保険料、将来の修繕費などを合わせると、年間20万~45万円程度(月あたり約2万~4万円程度)を見込んでおくと安心です。
これらの維持費がどれくらいかかるかは、選ぶ地域、家の価格、建物の大きさ、メンテナンスの考え方によって違ってきます。
「家賃と同じ返済額だから大丈夫」と判断せず、こうしたローンの返済以外にかかる維持費も含めて、トータルの収支バランスを考えておくことが大切です。
ローンの固定制と変動制の仕組みはどう違う?
多くの人が選ぶローン払いですが、ここで重要になってくるのが「金利の選び方」です。
大きく分けて2つのタイプがあり、どちらを選ぶかで毎月の支払額の決まり方が変わります。
変動金利(変動制)
定期的に利率が見直されて、世の中の景気に合わせて金利が変わるタイプです。
特徴
借り始めの時点では、固定金利に比べて金利が低く設定されているため、毎月の支払いを一番安くスタートできるのが魅力です。
広告の試算でよく使われるのもこの金利です。
注意点
現在のように日本の金利が上昇傾向にある局面では、将来的に世の中の金利がさらに上がった際、自分の毎月の返済額も増えてしまうというリスクを抱え続けることになります。
固定金利(固定制)
借りたときの利率が、完済するまでずっと変わらないタイプです。
特徴
将来どれだけ世の中の景気が変わっても、金利が上がっても、自分の支払額は一切変わりません。
最後までずっと返済額が変わらないため、長期的な家計の計画が非常に立てやすいという大きな安心感があります。
注意点
変動金利に比べると、将来の利上げリスクを見越して最初の利率が高めに設定されています。
そのため、スタート時の毎月の返済額は変動金利よりも高くなります。
そもそも、支払いは「現金一括」と「ローン」でどう変わる?
家を建てるときに全額を現金で支払う方法と、ローンを借りて少しずつ返す方法。
それぞれの仕組みや、建てた後の生活に与える影響の違いを比べてみましょう。
現金一括払いの特徴
手元にまとまった資金がある場合に選択できる、いちばんシンプルな方法です。
メリット
デメリット
ローン払いの特徴
手元の資金を守りながら、長期的な計画で支払っていく方法です。
メリット
デメリット
自分たちの家計に合わせたバランスの取り方
全額を一括にするか、全額をローンにするかだけでなく、「出せる分だけ現金(頭金)で払い、足りない分だけローンを組む」という組み合わせが一般的です。
ただ、ローンの総額を減らしたい、あるいは借入額を増やしたいからといって、無理なプランを選ぶのは禁物です。
広告の安さや審査の通りやすさに惹かれて、将来ボーナスが減額・支給停止になるリスクがある『ボーナス払い』、子ども世代にも負担がかかる『二世代(リレー)ローン』、そして夫婦どちらかの退職や減給で一気に破綻しかねない『ペアローン』を安易に組んでしまうケースもあります。
最適なバランスは人によって完全に違います。まずはボーナスやペアローンでの限界までの合算をあてにせず、「毎月の給料だけで無理なく返せるか」を基準にすること。
ローンの仕組みに頼りすぎず、「これくらい貯金が残っていれば安心」という金額を最初に取り分け、そこから引き算をして自分たちにぴったりな現金とローンの配分を決めていくのが良い進め方です。
まとめ
家を建てるときのお金の話は、単に「いくら借りるか」だけで決まる単純なものではありません。
自分が家を建てたい地域の相場を知り、広告の甘い言葉に惑わされず、維持費も含めた現実的な収支をしっかり見据えることが大切です。
その上で、変動・固定それぞれの特徴を理解し、一括払いの「利子がかからないすっきりとした形」と、ローン払いの「手元に現金がある安心感」のバランスをトータルで比較していきましょう。
周りの意見に焦って合わせず、自分たちの家計がこれから先もずっと一番安定していられる、ちょうどいいバランスを見つけていきましょう!
