太陽光発電って、結局お得なの?それとも損なの?
屋根にパネルを載せた家を見かけるたびに、そんな疑問を持ったことがあるかもしれません。
今回は、太陽光発電で本当に電気代が安くなるのかどうかを、費用や節約効果、トラブル時の対応、そして将来の処分まで、実際のデータをもとにまっすぐ見ていきます。
気になるところ、ひとつずつチェックしてみましょう。
太陽光発電でどれくらい電気がまかなえるの?
まず気になるのは、「自分の家の電気、どれくらい太陽光でまかなえるの?」というところ。
これはパネルの容量や地域の日照時間によって変わりますが、おおよその目安があります。
たとえば、4kWの太陽光システムを設置した場合。
関東エリアでは年間で約4,000〜4,800kWh程度の発電が見込まれます。
※参考:資源エネルギー庁-2024年度 統計表一覧-2-(2) 都道府県別発電実績
月あたりで換算すると、だいたい330〜400kWhほど。
一方、一般的な4人世帯が月に使う電気は約400〜450kWhほど。
※参考:経産省-家計調査(二人以上の世帯)2025年(令和7年)4月分)
つまり、日照条件が良ければ、家庭の電気の8〜9割をまかなえるケースもあるということです。
ただし夜間は発電できませんし、曇りや雨の日は発電量が落ちます。
発電しきれない分は今まで通り電力会社から買う必要があります。
太陽光発電で毎月いくらお得になる?
地域差はあるものの、一般的に電気料金は1kWhあたり30円程度(2024年現在)。
月に300kWh発電して、そのまま使えば月9,000円の節約。
年間にすれば10万円以上の削減も現実的です。
もちろん、売電(発電した電気を電力会社に売ること)もできます。
ただ、最近の売電価格は1キロワット時あたり約9円ほどに下がってきていて、家庭での電気代がだいたい27円くらいなのに比べると、売るより自分で使ったほうがずっとお得になりやすいんです。
だから太陽光発電を導入するときは、発電した電気をできるだけ自分で使うことを意識した方がいいですね。
太陽光発電の初期費用と回収の目安
2025年現在、住宅用の太陽光パネルの設置費用はだいたい1kWあたり20〜25万円程度。
4kWのシステムで、トータル80万〜100万円前後というのが相場です。
これに対し、年間の節約額が10万円とすれば、10年程度で元が取れる計算です。
設置から25年以上使えることを考えれば、その後はほぼ「プラスの期間」となります。
ただし、ローンを使う場合は金利も加味して考える必要があります。
太陽光システムの故障やメンテナンスは大丈夫?
太陽光パネルは基本的に壊れにくい構造で、出力保証も25年と長めに設定されています。
とはいえ、まったく手がかからないわけではありません。
特に注意が必要なのは「パワーコンディショナ」と呼ばれる機器。
これは太陽光でつくった直流電気を、家庭用の交流電気に変換する大事な装置で、寿命は10〜15年が一般的です。
交換には15〜30万円ほどかかることが多いので、設置後10年を過ぎたら準備しておくと安心です。
また、年に1回程度の点検を受けることで、不具合の早期発見にもつながります。
点検費用は1万円〜2万円程度です。
太陽光パネルの寿命がきたらどうする?
パネルの寿命が25年近くあるとはいえ、「使い終わったらどうすればいいの?」というのも気になるところ。
現在、太陽光パネルの廃棄が本格化するのは2030年代と予想されています。
環境省や業界団体がリサイクルの仕組み作りを進めている段階です。
※参考:環境省-太陽光発電設備のリサイクル推進ガイドライン(第三版)
今のところ、処分費用は1枚あたり数千円〜1万円前後が相場。
有害物質を含む旧型パネルの場合は、専門業者による適正処理が必要になります。
新しいタイプのパネルでは、リサイクルしやすく有害物質を含まない設計のものも増えてきており、将来的な負担は軽くなっていく可能性があります。
ポイントは、設置時に将来の撤去・処分対応が契約に含まれているか確認することです。
太陽光をやるべき?やめとくべき?
ここまでのポイントをまとめると、太陽光発電は次のような人にとって「得になりやすい」と言えます。
逆に、「数年後に引っ越す予定がある」「屋根の方角や角度が発電に不向き」という場合は慎重に検討する価値があります。
まとめ
太陽光発電は「条件が合えばお得」
すべての家庭にとって完璧な選択ではありませんが、自分の住環境とライフスタイルに合えば、太陽光発電は「使える節約術」になります。
重要なのは、「いくらかかるか」ではなく「どれだけ回収できるか」。
導入を検討するなら、信頼できる業者に見積もりを依頼し、長期的な視点でじっくり考えてみてください。