邦画は儲かるビジネスなの?

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映画館に行くと、新作の邦画がずらっと並んでいますよね。
「また新しい邦画が出てる!」と思ったことがある人も多いはず。
でも、ふと疑問に思いませんか?
こんなにたくさん作って、本当に儲かっているんでしょうか?

今回は、邦画の「本数」「収益」「制作費」「ビジネスモデル」にフォーカスして、今の日本映画業界のリアルを掘り下げてみます。

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近年の邦画はどれくらい作られてるの?

まずは単純な数の話から。
実は邦画って、毎年かなりの本数が公開されています。

  • 2021年: 490本(コロナ禍で一時減少)
  • 2022年: 598本
  • 2023年: 676本
  • 2024年: 685本(過去最多)

つまり、最近では1日に2本近い邦画が映画館に並んでいる計算です。

制作本数は右肩上がりで、2024年は過去最多を記録しました。
コロナ禍で一時的に落ち込んだものの、その後しっかりと持ち直しています。
これを見ると、「日本映画って意外と元気なんじゃ?」と思うかもしれませんが、次の収益面を見てみると少し事情が変わってきます。

実際にどのくらい儲かってる?

2024年の邦画の総興行収入は約1,481億円。これは過去最高の数字です。
ちなみに前年の2023年は約1,482億円と、2年連続で高水準をキープしています。

一見すると「邦画、絶好調!」と思えるかもしれませんが、この数字には落とし穴があります。
たとえば2023年に公開された邦画のうち、興行収入が10億円以上を記録したのは34本。
しかしその34本だけで、総収入の約77%にあたる約1,139億円を稼ぎ出しているんです。
逆に言えば、残りの642本が稼いだのは、全体のわずか2割ちょっと。

全体を平均すると、1本あたりの興行収入は約2.19億円。
しかしヒット作を除いて平均すると、1本あたり約5,300万円にしかなりません。

つまり、「数は多いけど、ほとんどが儲かっていない」のが現実。
華やかに見える映画業界にも、実はシビアな競争が潜んでいるのです。

邦画を作るのにいくらかかる?

では、映画を作るには実際いくらかかるのでしょう?
作品の規模やジャンルにもよりますが、一般的な邦画でよく言われるのが以下のような制作費です。

  • 小規模なインディーズ映画: 約1,000万〜3,000万円
  • 中規模の商業映画: 約5,000万〜1.5億円
  • 大規模な話題作: 3億円〜10億円以上

意外とコストがかかるんですよね。
そして、これには広告宣伝費(P&A)も含まれていないことが多く、マーケティング費用まで含めると予算はさらに膨らみます。

なので、先ほどの「1本あたり平均5,300万円の興行収入」では、元を取れていない映画もかなり多いんです。

邦画のビジネスモデルとは?

それでも邦画が作られ続けているのは、収益源が「映画館のチケット」だけじゃないからです。
映画の収益構造は複雑で、以下のような複数のルートがあります。

  • 劇場公開での興行収入
  • パッケージ販売(DVD/Blu-ray)
  • 配信サービス(Netflix、U-NEXTなど)
  • テレビ放映権(地上波、CS)
  • 海外展開(映画祭、海外配信)
  • 商品タイアップ、グッズ販売

映画館での収益が小さくても、 NetflixAmazon Prime Videoなどで買い取られることで、利益が出ることも。
最近では配信ファーストの戦略を取るケースも増えています。

さらに、「製作委員会方式」と呼ばれる仕組みもポイント。
複数の企業(テレビ局、出版社、広告会社など)が出資し合うことで、リスクを分散させつつ、利益も分け合うスタイルです。
この仕組みにより、ある程度の失敗は折り込み済みで映画が作られているんです。

それでも映画を作り続ける理由

「それでも邦画が作られ続けているのはなぜか?」という問いに対して、答えは意外とシンプルかもしれません。

  • 少ないコストで利益を出せる可能性がある
  • 原作モノ(漫画、ライトノベル)は安定した集客力がある
  • 配信や海外市場が拡大している
  • 映画をきっかけに、俳優や原作の知名度が上がる(相乗効果)

つまり、一本の映画をきっかけに“当たれば大きい”というビジネス的魅力があるわけです。

まとめ

邦画は数も多く、儲かる作品もある。でも…

邦画は年々制作本数が増え、興行収入も右肩上がりです。
しかし、その裏では「多くの作品が赤字」という現実もあります。
むしろ配信サービスや海外展開といった新しい収益モデルも広がりつつあります。

邦画は決して楽に稼げるビジネスではありません。
でも、当たれば大きく、作品をきっかけに広がる価値も大きい。
だからこそ今も挑戦が続いているのです。

次に映画館で邦画を観るときは、「これはどんな戦略で作られたんだろう?」と少し想いを巡らせてみるのも、映画の楽しみ方のひとつかもしれません。

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